「ピンチはピンチ」
ピンチはチャンスだと人は云う。
ピンチはピンチだ。間違いはない。
今、こんな世の中だ。
私の周りにも流行り病があれよあれよと迫っている。
会社に来られない人が続出するなか、ラインは回さないといけない。でも人はいない。
これはチャンスなのか。
前向きには捉えられない。
私に与えられるのは仕事のしわ寄せだけだ。
ただ、私は燃えている。
金曜日の夜だってそうだ。仕事の終わり時間が36時となっていた。
「ん?30時が6時だから‥36時ということは‥‥」
「‥‥12時か」
5時が定時だから、ざっと7時間残業である。
「あぁ、前は9時間残業だったからな、2時間早いわ」
「ラッキー」
となるのだ。
不仕合わせの時くたびれる奴なんて、役にたたないのさ。わかるかい?
朝方の気持ち悪さを越せばもう限界は突破する。
多少の怒りはあるが、流石は社畜‥‥最後までやりきる。
やりきってどうなるって?
なんにもなりやしないさ。
これが現実なんだ。周りに哀れられるだけさ。
「生きるってどういうことなの?」
子供が私にこう尋ねる。
私は答える。
「最高の死を求めることだ」